ハッピー。
さて、残業も終わりました。
人が年末調整の数字とにらめっこしている間に、
どうやらお馬さんが引退試合を圧勝したようです。
はて、手元には偶然でしょうか、当たり馬券。
ありがとう。サンタさん。
会社を後にして
すっかり暗くなって、イルミネーションが明るい街に出ました。
ああ、寒い。
と、コートのポケットに手を入れると、何か入ってます。
「サンタさんへ。DSLiteとポケモンください」
かわいい子供からの手紙でした。
サンタさんに出すなら、フィンランドに送れって言ったはずなのに・・
妙に打算的なやっちゃな。
まあ、とはいえかわいい子供のためじゃないですか。
さっさとかえって、きゅっと熱燗でも飲みたい気持ちをおさえまして、
行く当てもなく街をさまようカップルをかき分け電気屋さんにくらいいきましょう。
ああ、3件目の電気屋さんでまたしてもDSとポケモンが売り切れなのを確認したとき
僕はあることに気づいてしまった。
まず、僕には子供はいないこと。
そりゃそうだ。生まれてこの方、女性と手も握ったことがないって言うのに、
どうして子供いようものか。
ではこの紙ッきれは果たして誰が僕のコートのポケットにいれたのか?
ま、そりゃ、僕自身に決まってるわな。
いやいやいや。まてよ。
そもそも、僕はDSがほしい。うん。そこは間違いない。
でも、サンタさんに頼むほど、ほしいかって言われるとそうでもないし、
そもそもサンタさんに頼むんならフィンランドに手紙をかくはずだ。
さっきまで、家に帰ったらターキーとケーキとシャンパンでワイフが笑顔で迎えてくれて、
子供も腕に絡み付いてくる、そんな家庭に僕はこれから帰るんだと。
そう、本当はなべで一杯なんだけど、今日くらいはかぶれてやるさ!と思ってたんだけど、
まあ、それらは全部アレだったわけで。
そうとわかれば、デパートにでもいって晩酌用の・・・んー、この際ターキーでも買いますか。
今日くらいかぶれましょうか?
なんて考えながら、やけに割高なターキーとケーキ、それと迷ったけどシャンパンを買った。
ところで、こういういわゆる「クリスマス食」ってのは、果たして今日食べるのか?それとも明日食べるのか?
わからない。これならおでんにでもしておけばよかった。
おでんは1年365日、いつ食べてもいいし、なにより酒にあう。
なんかそう思うと今手に持ってるこれら「クリスマス食」がやたらチンケなものに思えてきて、
公園の中、キラキラ光るイルミネーション、その中を目一杯おしゃれをして、目一杯目を輝かせ、目一杯いちゃつくカップルたち。
まるで、それがクリスマスの「正式な過ごし方」とでも主張するかのようにあっちでもこっちでも
ちゅっちゅかするカップルに、居場所を奪われた、本来の主である世捨て人にそれらクリスマス食をくれてやった。
メリークリスマス。
そして、少し後悔した。
フィンランドに手紙書いておけば、間違いなくDSゲットできたのに・・
ま、いっか。