「えり足が長い」それだけで、僕は本来の居場所から抜け出せる気がしていた。
でも、僕のブレザーにだけ異常にフケが付着するのに気づいて、背伸びしてた自分がかっこ悪く思えてきて、ばっさいりと襟足をカッティングした1987年。
生まれた町を離れ、新しい環境で一人暮らしを始めた僕。4畳半の空間ですするカップラーメン。
足の踏み場のないその部屋に嫌気が差して飛び出した1979年。
半端ものは寂しがりやで、声をかければみんな誰も彼もかまってくれる。そんな連中とつるんで悪さしたり、恋したり、浮かれほうけて過ぎてった1980年。
いつまでたっても友達から自分だけ苗字で呼ばれてることに気づいた1983年。
久々に帰った実家で犬にほえられた1984年。
犬のほうがいいもの食わせてもらってる実家の家業を継いだ1987年。
中山で涙した1989年。
コーヒーに砂糖を入れなくなった1993年。
頭髪を右から左に持ってくるようになった1995年。
あれから10年。
憧れだったあの子は大学の教授さまと結婚して2人の子供がいて、俺よりいい飯食ってた犬は6匹の子供を残してお空の大往生した。
俺は禁煙して禁酒して、週一回ソープに通いながら、犬達に俺よりいい飯くわせてる。
振り返ればよき時代。そこそこの人生。
俺が出会った多くの人々が、であった頃より幸せであれと願いながら
今日も緑色の木の実を青い液体で満ちたたるに入れてこねくり回してオレンジ色のゼリー状のものを作っている。
親父、お袋・・
これ、なににつかうんだよ?
ではでは