ローラー 右投げ左打ち~
得意な球種は スライダ~
今季は2ぐーんーで 3セーブ~
あーああああああー ゆめものがたりーいぃ~♪♪
「もら太郎4」
おじいさんはオバアサンと奇怪な生物(実子)にせがまれて、得意の日曜大工で線路を作ると、とりあえず家の中をもら太郎が行き来できるようにそれを張り巡らせた。
「人間を80年以上やっておるが、こんなにどうしたらいいって思ったのは初めてじゃわい!」
と困惑気味にもら太郎をみていると
ぴっぴーーーー!!しゅわしゅわしゅわ!!
と、もら太郎は急に蒸気を上げて線路を走り回った。
「おじいさんや!みておくれ!もら太郎が歩いているよ!」
おばあさんはわが子が歩くざまを見て喚起の声を上げた。
「いや、歩いているというか、あれは…走っておるの間違いではないのかい?」
とおじいさんが言うと
「まあ、走っているならなおすごいじゃありませんか!生まれてすぐに走り出すなんて!これは将来「おりんぴっく」の選手ですね!」
おばあさんはさらに興奮していった。
「ああ…そうだね。」
おじいさんは縁側から見える松の木を眺めながらそう答えた。
はたして、オバアサンはぼてけていなかった。そして自分に覚えがある以上今我が家を走り回っているこの生物(と呼んでいいのか?)は間違いなく、わしの息子になるわけだ。
しかし、そもそもわしら人間からなぜこんなものが生まれてきてしまったのか?
答えのない質問を松ノ木にぶつけているともら太郎がおじいさんの足元まで走ってきていました
「どうしたんじゃ?つかれたのか?」おじいさんが聞くと、もら太郎は言いました
「じぶん、走り回りすぎて、腹がすいてきました。つきましてはおじいさん、木炭などをいただければ自分うれしいのですが。」
おくで、もら太郎の「おなかがすいた」という声を聞いて乳を出して待ち受けていたおばあさんの複雑そうな顔が見えたが、それを黙殺して、おじいさんは裏に行って薪を燃やし始めた。
次の日おじいさんは例のように山へ向かった。いつものように山では鬼が待っていた
「…というわけなんじゃが、これはどういう意味なんじゃろか?」
おじいさんは鬼に昨日の出産劇を話しました。
「マアサ、2ヶ月デウマレタトナルト、ソノコハミジュクジテコトニナルワケヤン?ホカノコドモトチガウノモ、ソウイウノカンケイシテルントチャウ?」
鬼は珍しくまともなことを言いました。
「とはいっても、見た目は汽車じゃど?しかも乳も飲まんと木炭ばっかり食べよるし、夜鳴きもせんと、一晩中汽笛をなりまわす。おかげで今日は寝不足じゃ。」
「ア。ドウデモイイケドジイサン。コドモガウマレタアトハタマッテイルダロウケドスグニヤッチャアカンヨ。アッチノホウガユルンデテスグニニンシンシチャウカラ」
「わしも80を大きく過ぎてるし、あんな子供見せられちゃそんな気力はないよ。」
「ソッカ。ナライイケド、オレハソレデイマ5ニンモガキガイテナー。ホンマタイヘンヤデ!」
ぐわっしゃっしゃっしゃ!
おじいさんはひとしきり笑うと鬼の左頬を張ったおしました。
「いや、人の話を聞けよ。」
「セヤナ…」
そして、二人で薪拾いをして、そろそろ帰ろうかとなったとき鬼は言いました。
「アレヤナ。ジイサンニガキガデキタッテイウシ、キョウアタリチョットジイサンノイエイッテモエエカイ?」
「そうかい?それはいい!おばあさんやもら太郎を紹介するよ!」
と、一人で帰るのが心細く思っていたおじいさんは鬼がうちに来るのを受け入れると、二人は街へ行って、まきを売ったお金で、お酒と備長炭をかっておじいさんの家へ向かいました。
一方おじいさんの家ではもら太郎がオバアサンと囲炉裏をかこんで話をしていました。
「もら太郎や。お前は何でそんなに元気なんだい?」今にも閉じてしまいそうなくらい目を細めオバアサンはもら太郎に聞きました。(目を細めていたのは、うれしさ半分、家中にもら太郎が吐き出す蒸気が充満していたのが半分)
「それは、自分、やらねばならんことがあるからです!」囲炉裏の周りをぐるぐる回っていたもら太郎は急に動きを止めると、そうオバアサンに言った。
「へぇ。生まれてきまもないお前がやらなければいけないものっていうのは、なんなんだい?」オバアサンは聞きました。
「正確には生まれてすぐというのは間違いなのかもしれません。極端に言えば僕は老夫婦のもとだったらどこでもよかったのです。そう、老夫婦のもとに生まれてはじめて、この使命を得る権利があったのですから。」
それをきいたおばあさんはチョット悲しそうに言いました。
「まあ、どこでもよかっただなんて…でも、わたしはそんなお前でも、自分のもとに生まれてきてくれたことを神に感謝するよ…」
「ありがとう。おばあさん。いや、母さん。自分も、この家に生まれて着てよかったと思っています。この恩は自分の使命でもある、鬼退治を果たすことで返させていただきます!」
おばあさんはそれを聞いて笑いました。
「ほっほっほ。おもしろいことをいうね、もら太郎は。この世界に鬼なんかいるもんですか。それに鬼なんて退治してくれなくても、お前が元気に育ってくれればそれ以上の恩返しなんてあるものですか」おばあさんはいいました。
「いえ、悲しいことですが、鬼は存在します。その証拠に自分はこうして使命を持って生まれてきましたし。なんといわれようと、自分は鬼を殺すことが使命です。」
パリーーーン!
そのとき、家の入り口で何かが割れる音がしました。
もら太郎とオバアサンは2人で玄関のほうをみました。
そこにはおじいさんと鬼が立っていました。
「もら太郎…おまえ何を言っておるんじゃ!」
「き…きゃーーーーー!!!」
「……こんなに早くあえるとは思っていなかったうお!さあ、おばさんは下がっていて!」
もら太郎はオバアサンが家の奥に逃げていくといいました。
「ここであったが100年目!人々を苦しめる悪の根源鬼め!このもら太郎が成敗してくれる!!」
「うそじゃろ…おまえがそんな悪者だったなんて…うそじゃといってくれ!」おじいさんは混乱して鬼にすがりました。
鬼はもら太郎に一瞥くれると、すがってきたおじいさんにいいました。
「…テイウカイミガゼンゼンワカランノヤケド?ナニコノキシャ?」
時間が止まりました。
つづく